うつ病を発症する原因はと聞かれて多くの人はストレスと答えるのではないでしょうか。確かにストレスはうつ病を発症させる大きな原因の一つです。現在の日本で生活していくうえでストレスを感じずに生きていくという事は不可能といっても良いでしょう。誰もがちょっとしたことが原因でストレスを感じます。うつ病が心の風邪といわれている理由が何となく分かるのではないでしょうか。しかし発症する原因はそれだけではありません。実はうつ病を発症する原因の一つに遺伝があります。うつ病を発症した親から生まれた子供が絶対に病気になると言うほど影響力が大きいわけではありませんが、なりやすい傾向にあるという事は立証されています。普通の人がうつ病を発症する確率はその人が置かれている環境にも大きく左右されますが、多くて10パーセントほどだと言われています。一方、両親のどちらかがうつ病を発症していたり発症した経験がある場合、その確率は15パーセント程度まで上昇します。この数値を見てもある程度遺伝が影響しているという事が分かります。また、遺伝が関係あることが更に実感出来るのが双子として誕生した場合で、一卵性双生児でどちらかが発症した場合は、なんと半数近くが同じようにうつ病を発症するという事が分かっています。二卵性双生児の場合でも最大25パーセントの確率で、片方がうつ病の場合はもう片方も同じように病気を発症すると言われているのです。一卵性双生児の方が高い確率で同じ病気になることを見ると、遺伝が大きく関係していることがよくわかります、しかし、親子は同じ環境で生活しているのだから、子供も同じような病気を発症するのは環境が原因なのではないかと疑問に思う人も居るでしょう。そこで、矢がうつ病の過程において通常のように親子一緒に暮らした場合と、子供を養子に出した場合で病気の発症率は変化するのかという調査が行われました。環境が原因であればこの二つの場合病気を発症する確率は変化するはずです。ところが実際に調査をおこなった結果、病気を発症した確率はそれほど変わりが無かったのです。これは遺伝によって病気を発症していることを如実に表しています。遺伝が原因と聞くと絶望的な気持ちになるかもしれませんが、全員が遺伝によって発症するわけではありません。あくまでも遺伝は一つの要因に過ぎないのです。それ以上に過ごしている環境やストレスの方が大きな原因となります。意識して環境を整えたりストレスを適度に解消することによって自分で予防することは必ずできます。